観光業におけるカジノの効果

近い将来日本でカジノが解禁されることにもなる、カジノを併設としたリゾートホテルや観光施設を作る取り組みであるIR法案(統合型リゾート推進法案)の話が進められているぐらい、観光業界とギャンブル業界は、ある特定の複雑な関係をもっています。今日では、「ギャンブルが観光地のイメージに与える影響は?」「ギャンブルは観光地の人気を高めるか?」「ギャンブルが観光業にもたらす悪い要因は?」といった疑問について大いに研究が行われていますが、ギャンブル業界が観光業に貢献できることは事実であり、主に高度な経済発展や観光地開発を通してプラスの効果をもたらします。

現在、観光地におけるカジノ開発が多くの投資家を引きつけています。結果として、ギャンブル企業の収入が増大し、雇用が拡大し、市民の収入や地方自治体の歳入も増加し、ひいては市民の消費支出も高まります。観光地におけるカジノ開発によって公共インフラストラクチャの建設が進み、不動産の価値が高まり、観光客の往来も盛んになるのです。

統計から見るギャンブル業界と観光業界

米国雑誌『Forbes 21』によると、年間1億5千万人が有名なギャンブル都市を訪れています。中でも、世界で最も著名なギャンブルの街であるラスベガスは、2016年には4,290万人の訪問客が訪れて、あらゆる入場者数記録を塗り替え、最も観光客の集まる都市となりました。カジノ周辺にあるホテルやその他の宿泊施設は、非常に高い客室占有率を誇っています。

カジノがもつ優れた経済効果については、マカオ初の大規模カジノであるサンズ・マカオ・カジノが2003年に開業した際、観光客数が前年度を上回り、新たな宿泊施設や観光客向けの複合施設を建設しなければならなくなったという事実によって裏付けられています。

観光業の将来におけるギャンブル業界の役割

ある観光業が他社と対等に競合し、業界内で生き残っていくには、ギャンブルについての否定的な態度を捨て、世界的潮流に合わせていく必要があります。将来的には、観光業の開発は各観光地で新たに個別化される特色というものに焦点が当てられることになるでしょう。

また、過去10年間によくみられる観光形態としては、いわゆるギャンブル観光というものがあります。観光の形態は年々変化しつつある中で、観光客の年齢層も変化しており、近年では高齢者の観光客数が増加しています。観光業者はこれらすべてのことを考慮に入れていくべきでしょう。

まとめ

観光客へ提供するものを拡充させたり、観光開発の新戦略を策定したりする際に極めて重要なことは、観光地の運営側が観光客に提供するものを現代の市場の新たな要件に合わせていくことです。

また、何か観光客向けのものを生み出すときには、地元コミュニティの生活の質を損なわないようにすることが極めて重要です。もしそのような事態となれば、地元住民は観光開発に否定的となり、最終的にはそうした観光開発のために生み出したものが取り潰されることになりかねません。

現時点で、ギャンブル業界も含めて、良くも悪くも特に際立った傾向はみられませんが、今重要なことは、能力と責任感のある人々が正しくカジノを管理・運営すること、そしてカジノ開発をどういった方向へ進展させていくか、ということでしょう。